これではパワハラは解決できない

結局受けとめる側の問題ということなのか。

10月29日の東京新聞朝刊一面では、

女性活躍・ハラスメント規制法の施行に向けて

厚生労働省が作成した指針の素案に、

労働者や専門家から疑問の声が噴出していると伝えている。

「『経営上の理由』などがあれば、

 強い注意や能力に見合わない仕事をさせることを容認する上、

 そうした行為が許される前提条件もあいまいなためだ。」

 パワハラを「暴力」「暴言・精神的攻撃」に加え、

 「隔離(人間関係からの切り離し)」

 「過大な要求」「過小な要求」「プライバシーの侵害」の六つに分類

 してそれぞれ具体例などを示しているが、

このボーダーラインが曖昧になっている。

例えば大声で叱責する場合はその人の人格を否定したり

他の労働者の面前でやってはいけないと

定められているが、

遅刻や服装の乱れなど社会的なルールが改善されない

場合に強く注意した場合にはセーフになる。

こうなれば管理する側は誰だって「大声で叱責」するのは

当然でしょう。

「労働者に落ち度があるなら暴言を吐いても許されるとの誤解を企業に与える。」

ブラック企業相手の訴訟を多く手掛けてきた市橋耕太弁護士)

また大きな問題となった、「引越社」の騒動も

労働組合に加入した営業担当の社員を一日中、

 書類をシュレッダーにかける仕事に異動させた件)

「経営上の理由により一時的に能力の見合わない

 簡易な業務につかせる」のならばセーフになる。

あの時も引越社の経営側はに「経営上の理由」で

原告側の訴えを突っぱねている。

これが認められる可能性が高くなるかもしれない。

また、LGBTに関連する性的指向性自認についても

対象となる労働者の了解を得れば

人事労務部門に伝達して配慮を促すことが出来るとされたが、

その「了解」の基準や条件が「指針」だからという理由で

詳しく定められていない。

厚労省の例は状況が細かく書かれておらず、

 幅のある解釈が可能。

 このままでは企業による責任逃れの弁解に悪用され、

 パワハラ防止どころかパワハラ促進になってしまう」

ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士)

正直言わせてもらうならば、

過去に訴訟などで問題になった例を吟味して

「これだけはやってはいけない」ことを示すのが

指針なのに、

「これくらいだったら許そう」ということばかり

列挙しているようではパワハラはなくせない。

ましてやいまの職場はどこも効率化や

稼働工数ばかりが優先されて

人間関係などに「ゆとり」が失われている。

まずここから改善と改革が求められているのに

これを無視していたら

今後もパワハラやセクハラがさらに日常化すると

私もそう思う。

「大企業は2020年6月1日から、

 中小企業は22年4月1日から義務化する。

 内容は企業に防止措置を設けることを求めるにとどまっており、

 職場でのハラスメント全般の法律による禁止を求める

 国際労働機関(ILO)条約の基準より緩い。」

(記事による女性活躍・ハラスメント規制法の解説より

 法律は今年5月に成立済み)

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(30日東京新聞朝刊より。29日に開かれた緊急集会について。

 指針案に対して「実際に就活生がセクハラをにあった場合のその先がない」

 との指摘があり、「その相談窓口の設置や被害救済などが抜けている」との批判が

 あり、またフリーランスのハラスメントを取り巻く状況は完全な無法地帯で

 安心して働ける環境にないとの意見も出た。)www.tokyo-np.co.jp

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