「不信の棘」と「だから私はホームに立つ~新大久保駅転落事故と息子」と

11月11日は早朝(10日深夜)と夜に

日韓対立の状況に鋭いメスを入れる

2つのドキュメンタリーが放送された。

日テレのNNNドキュメント「不信の棘 ”徴用工”と日韓の行方」

f:id:shiraike:20191111233827j:plain

f:id:shiraike:20191111233910j:plain

北日本放送(富山)の制作で、

地元に本社がある「不二越」の徴用工訴訟を中心に

した内容だった。

第一次訴訟では原告側敗訴に和解が成立し、

原告に3500万円を支払ったが、

第二次訴訟では敗訴後、

「日韓請求権協定により裁判で権利は行使できない」として

和解はしなかった。不二越は第一次の和解ですべて解決ずみとしたが、

実は第一次訴訟で二審敗訴のあとに、

原告側弁護団が判決にある「原告の債権は時効によりすべて消滅している」

ことを考慮して時効のないアメリカの裁判所に

提訴することも考えたという。

そうしたら不二越のほうから和解へ向けての働きかけがあった。

しかし第二次訴訟では逆にアメリカのほうで裁判が行われては

かなわないということで「日韓請求権協定」を利用した

ということだが、

結果的にこの訴訟は韓国で行われ

2014年ソウル中央地裁の判決は

不二越は一人当たり約800~1000万円の賠償金を支払え」。

これが2018年10月の日本製鉄(当時の新日鉄住金)の

大審院判決にまて至ったというわけだ。

番組内では

2005年の韓国・民官共同委員会で

その協定における経済協力金には補償のための

協力金が「包括的に勘案されている」として

「これは韓国政府の責任で解決すべき問題だ」

と元・駐韓大使の武藤正敏氏に語らせている。

その一方で、日韓交渉の文章では

「過去の償いということではなしに」

経済協力と社会福祉のためなら協力金を

行う意義があるとして

当時の日本政府には徴用工に対する

真相究明や謝罪の意思がなかったことが

明らかにもなっていると。

同志社大学・太田修教授)

写真の女性はイ・ジャスンさん(87歳)。

第二次訴訟の原告の一人だが

13歳の時に学校で勧誘を受けて

女子挺身隊に入ったら平和に活動ができるし

生け花を学んで勉強も出来て

お金を儲けることが出来るという

映画を見させられたが全てがうそだった。

騙されて日本へ来た以上は

不二越は賠償金を支払うべきだし

自分たちは民間企業を訴えたのであって

一般の日本国民を恨んでいるのではないと語った。

現在も富山では、地元市民の有志によって

不二越裁判の連絡会が活動を続けている。

右翼団体の妨害に耐えながらも

高齢で日本へ行くことが出来ない原告たちに代わって

不二越に賠償責任を負う事を訴え続けている。

f:id:shiraike:20191112002944j:plain

午後10時50分のNHK・ストーリーズ「事件の涙」は

「だから私はホームに立つ」。

2001年の新大久保駅転落事件で日本人カメラマンを救助しながら

助からなかった韓国人留学生イ・スヒョンさん(当時26歳)

の母・ユンチャンさん(69歳)が、

亡き夫と共に

息子の意思を受け継いで奨学金制度を立ち上げて

日韓の橋渡しのために動き続けたことを紹介した一方で、

両国の関係が悪化し続けたことに

「なぜそういうことになったのでしょうか」と苦悩する表情も伝えた。

韓国では留学生を募るためにスピーチコンテストが中止に

なった半面で、日本で行われた奨学生の歓迎パーティーでは

5年前に奨学生になって日本企業に勤めるまでになった

青年との再会に喜ぶ姿も映し出される。

過去の不幸な歴史のみならず、

日韓のわだかまりを越えて助け合い

友好を強めた時代さえも

いまは忘れ去られるどころか

消してしまおうとする動きがある。

だからこそこの2つの番組をやった意義は大きいが、

はたしてどれだけの日本人が見てくれただろうか。

これがものすごく気になるところだ。

www.ntv.co.jp

www4.nhk.or.jp

fujisosho.exblog.jp