消費税は「割りカン税」なんてウソだ! 読売新聞「地球を読む」より

「1951年生まれ。東大教授を経て2016年4月から

 立正大学教授(中略)内閣府景気動向指数研究会座長。

 社会保障国民会議座長、財政制度等審議会会長なども

 歴任。」


10月20日の読売新聞朝刊コラム「地球を読む」は

上記の経歴を持つ立正大学学長の

吉川洋氏が

消費税増税についての論評を出している。

f:id:shiraike:20191027101753j:plain

 

誰もがわかっている軽減措置を列挙した上で

大見出しにある通り

「景気停滞の犯人にあらず」と結論づけているが

あまりにも早すぎる。

むしろ措置が切れる来年6月の反動が心配されるのに

「消費のタイミングを増税前に移動させるだけだから、

 1年を通してみれば総額が変わらず、大きな問題

 ではない。」

には説得力がない。

来年までこれを行う理由に東京五輪パラリンピックによる

特需に期待している傾向が政府にあったからである。

その五輪でもマラソン競歩の札幌開催で

予定通りの経済効果が見込めるかどうか

怪しくなっている。

今後の景気動向は見通せなくなっていて、

年度末までそれらの統計を見ないと

わからないのが正解ではないのか。

f:id:shiraike:20191027103256j:plain

「もし増税後、落ちた景気が長らく回復しないようなことが

 あるとしたら、それは消費税に原因があるのではなく、

 ほかに原因があるのではなく、他に理由があると考えなければならない。」

これは正しい。景気が回復しない原因はたくさんあるからだ。

雇用における非正規労働者の増加。

共稼ぎしなけれれば子育てができない世帯の増加。

日韓対立によるインバウンド観光客の大幅減少。

相次ぐ震災による地域の崩壊と破綻。

それにもかかわらず税金泥棒と続ける政治と行政など、

しかし吉川氏はこれらに言及せず

付加価値税の税率が約20%のEU諸国を例えにあげて

「(付加価値税が原因なら)はるか昔に壊滅しているはずである。」

とやっている。これも的外れだ。

むこうでは期限なしで軽減税率をきめ細かく定めた上で

福祉や子育て、医療の行為には税金がかからないようにしてある。

だからEUに加盟(イギリス含む)している国の民は見直しの声を求めても

付加価値税をもうやめよう」とは言わないのである。

むしろ日本は公共事業である水道の運営を民営化しながら

水道料金が高くなった自治体もあるし

何より10月から幼保無償化が始まったが

認可外の施設を利用するには手続きが面倒だとか

それを見込んで保育料を値上げする経営者がいる一方で

保育士の報酬が上がらないなど

EU諸国以下の水準は変わらないままになっている。

(それに気づかない国民世論に救われているようだが)

また最後には逆進性の問題について

累進的な所得税

「富裕層に大きい金融所得の定率分離課税や

 『所得』の正確な補足にも問題があるため、

 現実には理想の姿には程遠い」ということから

むしろ金持ちは多く消費することで

「いわば、割りカン税」としてわかりやすい

と論じている。乱暴きわまりない。

今の日本はかっての高度経済成長期とちがい

人生のあいだに大量かつ高額な消費行動が出来る

機会が減っている、またはゼロの世代が多くなっている。

その反面で社会保障費の支出増が止まらないから

消費税を導入して、

広く全ての国民に将来に向けての負担増を

お願いしたのではないのか?

そうではないとしたら

かっての「物品税」をそのままにしても

税収増が見込めるはずである。

EU諸国はその税制を継続させているのではないのか。

所得が少ない層は無駄遣いを止めても、

増税をされたら控除があっても重い納税の負担が課せられる。

富裕層はむしろ金融資産を分散または国外に移動させることで

消費税の有無にかかわらず納税の負担感が軽くなる。

割りカンはウソである。

最後に、

社会保障の将来と併せて、

 消費税の意義を国民に丁寧に説明することこそが、

 政治の責任である。」と結んでいるが

その言葉は安倍首相に直接ぶつけてほしい。

なぜか?

「丁寧に説明責任を果たす」

と言いながらさんざん逃げまくっているのは、

いったい誰なのは

国民の全てが知っているからである。

 

ちなみに11月7日付の東京新聞一面では

イートインをめぐる課税をめぐって

大混乱が起き、納税者から不公平感が起きていることを伝えている。

f:id:shiraike:20191107234050j:plain

ネット上では「イートイン脱税」と呼ばれているとのこと。

コンビニで食品を購入しても持ち帰りか店で食べるかどうかは

「客の自己申告」が全てなので

厳密に決めることができないからだ。

吉川氏にしてみれば、

来年6月までのことだからと軽く見ているようだが

店舗を預かる身としては大打撃を受けたのも同じだ。

「そもそも消費税を国に納めるのは店であり、

 客は脱税する立場にない。」

「申告を消費者に委ねた制度では、混乱を予想できたはずだ。」

(菅原草子氏の指摘、記事より)

吉川氏は全く予想できなかったということだ。

 

 

www.asahi.com

www.asahi.com

www.tokyo-np.co.jp

www.tokyo-np.co.jp