日本中に拡がる「限界集落」。
人口が減って、やがてムラ社会が
消えてしまうことに歯止めがかからない
現実を見たときに
何も出来ない絶望を感じる。
しかし、このドキュメントを見て
そのような気持ちから少し解き放たれたような
感じがした。それが
23日深夜に放送されたFNSドキュメンタリー大賞候補作
「まめったい~山あいの暮らしを後世に~」だった。
(長野放送制作・フジテレビ系で放映)
長野市の中条地区の日下野集落。
2017年で住民23人、平均年齢85歳(全て65歳以上)と
限界集落の典型でありながら、
昔からの地形を活かした畑作などで
無理のないゆったりとした生活を送る人々がそこにいる。
その姿を写真に撮って一冊の本にまとめようという
プロジェクトが、
現地に住む80歳女性、かってそこに住んでいた祖父母たちとの
思い出がある40代女性、そしてこの思いに共感した
カメラマンの3人で3年前からスタートした。
一人一人の出会いと撮影の中で、
この土地に生きる厳しさと寂しさ、
そしてそれ以上にこの場所に根差した日常から
にじみ出てくる喜びと素晴らしさ。
それらの全てを知ってもらいたい。
住民のほとんどを巻き込んで
前向きに良い方向へと動いている。
その一方で写真集の完成を待たずに
寿命を全うした人、この集落に住めなくなった人など
の別れもあったが
それらも全ての記録に入れることで
集落全体の絆をさらに深めていく。
この作業を進めていくなかで新たな発見もあった。
50年前の記録を写真に収めていた人の
家族と巡り合い、
その写真も入れようということになった。
こうして2018年12月に完成した写真集は
住民の皆さんに喜ばれるものとなった。
しかし、
「またやらなければいけないことが増えましたね。」
(40代女性の小山菜々子さん)
写真集を出したことはこの集落の過去を
懐かしむことだけではなく
集落で生きてきた歴史を知ることで
未来への「生きがい」と「地域との交わりあい」
をどのように考えていくかという
課題があるからだ。
ちなみにこのプロジェクトでは
「まめったいサミット」などで
全国的な交流の場をつくっている。
ひょっとしたら私たちにとっての
理想の生き方がこの集落に
あるのかもしれない。
そんな思いにさせてくれた番組だった。