JR新松戸駅の東の方は畑が線路のすぐ近くにある
いまどき珍しい風景が広がるが、
さすがに周辺の住民はこれでは不便で
西(駅入り口)との差が広がるばかりだということで
住民側もそれに応じる形で
減歩(自分たちの所有する土地の一部を減らし、市に還元)
に応じた。そこまでは良かったが
市民に農地を提供している酒井珠子さんの土地が
7割(約6000㎢)以上の減歩を市から提示され、
約束が違うと反発したことが
先月25日のTBSテレビ「噂の!東京マガジン」で取り上げられたのだ。
市は酒井さんらの土地を減歩によって取得することで
駅前ロータリー整備の他に、マンション建設や公園づくりを
して、どこの自治体でもやっている区画整理事業を進めたいとしているが、
酒井さんは「ここ(に)きちんと道を整備してほしいということは
(約1000㎢の減歩で済んだほかの住民と)同じ」と言ったうえで
「体の大半を引き裂かれる思いだ」と
市との考え方の違いを訴えた。
ふつうこれらの事業は、市役所だけではなく地元住民との
区画整理組合が主体的になってやるケースが殆どだが
新松戸の場合は市がすべてをやるという珍しいケースである。
最もそれゆえにマンション建設という計画をぶち上げたといえるが、
市役所側はあくまでも公共性が高いからと主張し、
酒井さん側には「ではご自身でいま農業をおやりになられているのですか
と言いたい。」さらに、
「駅前でなぜやらなければいけないのかという理由を聞きたい」
と筋違いな反論を番組の取材で応えたのだ。
また、酒井さんには整理後の農地とマンションを提供して
「(農業の収入が減る分を)家賃収入でやっていただく形となる。」と。
(NPO法人区画整理・再開発議業全国連絡会議 遠藤哲人さん)
専門家側からもこのようなやり方は
農業に深刻な打撃を与えるものであり
区画整理事業の建前とは違うものであると指摘があった。
最後まで見終えて思ったことは
松戸というところは
多くの畑や田んぼなどの農地をみんな売って
不動産収入を得るようになっていまの発展があるのだから
酒井さんも無理のない形で農家をやって
後はマンションの家賃で稼げば
いいんじゃないですかというのが
市役所(決して自分たちではなく市民の世論として)のホンネ。
しかし、松戸市は独自の都市農業計画を策定し
農地を増やして次世代に引き継ぐ農業の育成を
支援するはずではないのか。
このままでは本気で農業をやりたい人は
「松戸ではもうだめだ。農地を減らすようなことをあんなに
やられては」ということになりかねない。
まして一般市民に農地を貸すことは
新しい農業経営の形として注目を集めているはず。
市役所のやっていることは間違っているのである。
「だったら駅前のゴミゴミした所じゃなくて
もっと自然ゆたかな場所で・・・」
は通用しない。松戸はもはや
そういう場所に限ってどんどん宅地化が進み
新松戸のあの場所がいまや貴重な存在に
なっているのだ。(21世紀と森の広場の周辺はまだ残っているが)
これで強制執行となったらまさに言語道断だ。
私の家の近くの農家も区画整理事業で
畑から回転寿司や喫茶チェーン、とんかつ屋に
様変わりした。
もう少し自分たちのやろうとしていることを
見つめ直してほしいものだ。