続・雨と風のあいだに(終戦敗戦記念日に寄せて)

前日のブログでは「流れる星は生きている」の

映画を見た話を書いたが、

その最中の夜に見たのは

松山善三監督第一回作品である

名もなく貧しく美しく」だった。

戦争中に大空襲の中を逃げ回り、

耳が聞こえない中を母親が機銃掃射で殺された

戦災孤児に命を救われ、

この子とともに生きようと決意しても

周囲の動きでそれがかなわず

発疹チフスで夫を失い、

実家に戻るという不幸な事態に。

しかし聾学校(いまでいう特別支援学校)の同窓会で

知り合った人と再婚し、

困難な中で結婚、子育ての選択を歩む

人生を書き綴る作品であった。

この映画を見て思ったのは

どうして聴力が不自由な者たちを

作品の中心にしたのか。

いろいろと考えた先には

戦争はその瞬間が悲劇ではないことだということ。

終ってからが本当の地獄であること。

それに気づかないことが多いのではないか。

日本という国は

あれだけの戦争による多くの被害を負いながら

数十年にわたる苦労を経て

奇跡的といえる経済復興を果たしている。

その原動力とは何か。

人間として互いの立場を尊重して

この世に生きるものに

必要のない存在は誰一人としていないと。

たとえ心身が不自由であっても

一人ではなく、分かり合える存在が

集まればそこから希望が生まれる。

そうすればそこから

目指すべきほんとうの幸せを掴むことができる。

そこから社会、地域、自治体へとつながって

国ぐるみの幸せにつながるのではないかと。

この映画でもっとも訴えるのはそこではないかと。

ここには無責任な自己責任論は一切ないのだ。

耳の聞こえない同士であっても

不自由な境遇を受け入れて、

それを理解しあい、無理のない範囲で

頑張っていきたいということを

健常者である多くの人々に知ってもらいたいと

いうことが全てのシーンで溢れている。

そう見た。

それにしても松山善三監督は

まさに時代を先取りするような作品を世に出したことは大きい。

戦後74年経って、

やっと障がい者が国会議員になって

普通の人間ではわからない

生きるための思いを国会に届けることが出来るようになった。

ただ感服するしかない。

そして、絶対に差別を許してはいけない。

差別は戦争を産むもとになる。

絶対に忘れてはいけない。

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