ハンセン病家族訴訟 熊本地裁判決についての補足

6月28日に下されたハンセン病家族訴訟の判決は

国に対して、

元患者だけでなく家族に対しても(原告541人)

総額3億7675万円の損害賠償の支払いを命じる

判決を下した。

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(7月6日の講演会で配られた資料の表)

この判決のポイントとして徳田靖之弁護士は、

旧らい予防法が廃止された1996年(平成8年)から

2001年(平成13年)まで、

厚労省法務省、文部省(現文科省)は

人権上の偏見差別除去義務があるのにもかかわらず

それを怠り、その結果国民の大多数が旧法によって

差別と偏見を受けてもやむを得ないという

社会的構造をが出来てしまったと司法が厳しく断罪したことだった。

「これは本当に画期的な判決です。政府がハンセン病家族に差別

 を働くことを社会に植え付けたと判決で出したのですから。」

しかし、10日のラジオと新聞では

(テレビはジャニー喜多川氏の訃報ばかりだった。)

安倍首相が、「筆舌に尽くしがたい経験をされたご家族の苦労を

これ以上長引かせるわけにはいかない」と”異例”の政治判断を

表明した一方で、国の責任と謝罪に一切触れていないと指摘した。

いわば「上から目線」「救ってやるという傲慢さ」

「旧優生保護法被害に対する態度と同じ」というわけだが、

徳田さんは9日、超党派の国会議員懇談会の会長

森山裕自民党衆議院議員)と面会後に

「首相は最初から訴訟断念の方向で考えていたようだと聞いた。

 国の判断は、大変ありがたく、うれしく思っている。

 判決が確定することは、差別解消に向けた大きな一歩」

と評価した上で、

「国は直ちに判決の内容に沿って、差別・偏見の解消や

 家族関係の回復に向けて、原告団と協議を始めてほしい」

と話している。(読売新聞9日付夕刊より)

ちなみに慰謝料についてだが同じ資料の裏面より

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この基準に基づいて2001年12月31日までに差別の認識の有無や

親・子と配偶者または兄弟の隔離による家族関係や人格形成の障がいなど、

個々のケースによって慰謝料を算定して

一人当たり33万~143万円の賠償金が支払われることになるが、

敗訴した鳥取訴訟を含む元家族も含めた救済法案も

今後政府で検討することになるようだ。

熊本地裁は2004年までには遅くとも

 患者家族が請求権があることを知っていたことから

 すでに民法消滅時効3年が過ぎていたと判断した鳥取判決を覆し、

 2015年9月まで国の責任を知ることは困難と判断。

 時効の起算点をここから始めると時効は成立しないと判決。)

しかし肝心なことは

元患者と家族たちが望むのはお金以上に

国はこれまで自分たちがやったことのすべてを

認めて謝罪してほしいこと、

そして二度と誤解や偏見による差別のない

社会を本気でつくってほしいということにある。

それがいまの安倍政権が理解しているのだろうかということだ。

参院選の選択材料にもなることはいうまでもない。

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