テレメンタリー2019「便利の裏側で~深夜3時の留学生~」を見て

心が引き付けられた、日本人である私にも

リアルな悩みとして伝わってくる。

6月30日早朝にテレビ朝日で放送されたドキュメンタリー、

「便利の裏側~深夜3時の留学生~」のことだ。

船橋市にある運輸倉庫「デイリートランスポート」で

働く外国人留学生を追いかけることで

いまの日本の労働事情の矛盾さと

改正入管法が施行されても変わらない

外国人労働者の現状を取り上げている。

この倉庫ではコンビニで売られている弁当、総菜、スイーツを

工場から届けられて、これを店舗ごとに仕分けして

各地区の配送センターに出荷する業務を行っているが

夜勤の従業員はネパール、ブータンベトナムからの

留学生がほとんど。日本人は少ない。

船橋の倉庫で働くライ・アソクさん(24歳)はネパールの

エベレストの近くにあるロッキムという村の出身。

なぜ日本へと聞いたら

「日本のようなホテルがネパールにあり

 食事をし行った」ら初めての体験でおいしかったことから

「食事についてのおもてなしそれが勉強したいと思いました」と。

週4日、21時から3時半まで働いて手取り約13万円、

以前は姉と2人暮らしだったが就労ビザが取れずに帰国。

いまは一人暮らしで生活費6万円以下、睡眠は平均4時間で

学業と仕事を両立させているが、当然恋人などの

プライベートを充実させている暇も余裕もない。

でもアソクさんは自分で母国にホテルをつくって

栄養のある料理をネパール人に食べさせてあげたいと夢を語る。

「大変だけれど大丈夫です、このくらいの生活できます。」

その時、取材スタッフらしき人から「本当に?」と驚きの声が上がったが、

私は彼の気持ちがよくわかる。20代の時に元の職場が

中国残留孤児の生活定着センターがあり、その関係の人や

フィリピンから出稼ぎに来て国際結婚したパートさんが多かったこと、

そして今の職場でもベトナムからの留学生が夕方5時からの

アルバイトで来ていることが多いことを知っているからだ。

例え仕事がきつくても母国の故郷に大きな家を建てて

家族みんなを幸せにしたいなどの夢と目標を持っていることから

彼らにいつも笑顔があり、仲間関係を大切にして

明るくいまを生きていこうという思いがこちらにも伝わってくるからだ。

しかし大きな問題だ立ちはだかる。

それはビザの問題だ。上記の職場では

外国人留学生がいないと業務はあっという間に滞り

人手不足倒産を起こしてしまう。

そこでやる気があって日本に定住したい留学生を

正社員として採用しようとしても

「留学」から「就労」へビザを更新するために申請しても

許可がおりてくるかどうかがわからないためだ。

「ビザがどうしたらおりてくるかどうかが明確ではない。

 結局入管は私達職場のことなんか考えていないんでしょう。」

(人事管理担当・佐藤まどかさんの発言の一部から)

四日市の倉庫で働くウ・ヴァン・トゥンさん(26歳)は

ベトナム人ハノイの工科大学を卒業したが

不況で就職が出来ず留学生として四日市大学で学びながら

同社の倉庫で働き同じベトナム人女性と結婚、1児の父に。

安心安全で平和な日本で働くことを決意して正社員の内定を得たが、

肝心の就労ビザが1か月たっても届かない。

「ダメだったら家族全員帰国しなければならない。

 日本で働くならまた留学生からやり直し。

 もう疲れました勉強するの。」(トゥンさん)

幸いトゥンさんは4月の入社式の翌日にビザ取得の許可がおりたため

晴れて正社員としての一歩を踏み出すことが出来たが、

番組の最後で投げかけてきたのは

日本は人手不足大国であること。

当たり前のように便利な世の中(特にコンビ二)を支えているのは

不安定な状況の中で働いている外国人留学生であることだ。

改正入管法で新たな技能資格制度が出来たが、

これらの現実とは全く関係がない中で

雇用する側と働く側が先の見えない苦労が強いられ、

それに対して行政が全く機能せず、

世間の関心が全くないところで抜本的な解決策が見えないことだ。

このままでは将来起こるかもしれない不況で

魅力のない経済市場になった日本から

外国人留学生が逃げ出す日もそう遠くないのではと思う。

そうならないために「移民政策」に賛否を問うような

勘違いな選択をやめさせて、日本で生きることに意欲的な

外国人労働者の心によりそうやり方を考えなければいけないのだ。

www.tv-asahi.co.jp