放射線副読本・文科省の許されないウソを許すな

「なぜ国の測定を書かないのか」

「いつやったんですか?」「規模は?」

 東京新聞の記者は2019年4月から

 福島第一原発事故を受けて文部科学省がまとめた

 放射線教育の副読本の再改訂した上で

 本格的に教育の現場で使われ始めることについて、

 橋本郁也・教育課程課専門官に

 事故の具体的な評価(レベル7)を削除して

 「放出された放射性物質の量はチェルノブイリ事故の約7分の1」

 「県が行う内部被ばく測定では全員、健康に影響が及ぶ数値では

  なかった」と、まるで悲惨な状況をなかったことにする記述を

  すべてなかったことにする記述にすり替えたことに対する

  質問をしたら、

  逆に橋本氏に質問されたことを示す一問一答なのである。

 

f:id:shiraike:20190322235120j:plain

私はこれを見た時に激しい怒りを覚えた。

国は測定を行っている、しかしこれは避難した人々を対象としたのではなく

福島第一原発から30km圏外の住民に対して行われたものであり

その数は約1080人そこそこに過ぎなかった。

いくら文科省の管轄ではないところで行われたとしても

誤った誤解や偏見でいじめや差別を助長させないための副読本を

編纂する側がこのような認識不足では

政府が自らデマをばら撒くようなものではないのか。

「ただ(福島)県の測定は主に放射線セシウムについて調べるものだ。

 肝心の甲状腺がんは放射性ヨウ素による甲状腺内部被ばくで

 引き起こされる。ヨウ素の測定は県ではなく国が行い、

 わずかな数だけ調べて打ち切った。半減期を繰り返して

 (事故直後の初期被ばくは)もう測定できない。

 しかしそれらに関する記述はない。」

 東京新聞3月22日特報面の記事からの抜粋になるが

 最も調べて分析しなければならない初期被ばくは

 放射線医学総合研究所(放医研)の作為によって

 疫学的調査をする必要がないという結論が一方的に出されて

 その代わりに土壌や空間における長期被ばくの調査で、

 事故の影響に関する結論を出させようとしたのだ。

 副読本のその流れに沿う形で、放射性物質による影響を

 最小限に食い止める体裁をつくろうことにしようと

 したのは大きな罪に値する行為だ。

 橋本氏は「知識不足でした」と認めたが

 「体の部位ごとの状況まで触れると理解が難しいと思っている」

 と弁解した。とんでもないことだ。

 副読本はは小学生版と中高生版とがある。

 それぞれ理解しやすいように編集されているが

 あの事故の時にどのような事実が起きたのかがわからなければ

 無責任なデマや歪曲や誤解がこれからも

 拡散され続け、それが福島の人たちを苦しめることになる。

 そのようなことを無視して自分の都合の良いことだけを

 教育という名の「刷り込み」を強制すれば

 必ず大きな禍根を残すことになるのだ。

 原発は福島だけに存在するのではない。

 北海道から鹿児島まである。首都圏にも

 茨城に東海第二原発がある。すでに40年も稼働し続けている

 老朽原発である。決して事故が起こらない保証がない。

 教えるべきことは、原発が稼働し続けるかぎり

 その近くに住み続けること、そしてこの電力に依存する

 すべての国民が大きなリスクを負うことを

 キチンと事実として教えることではないのか。

 あの時のことを知らない官僚に副読本を作らせることは

 世界的な重大事故を大したことはないというウソを許すことである。

 これをすべての日本国民に知ってもらいたい。

 

www.mext.go.jp

www.cnic.jp

eduosk.cocolog-nifty.com