東日本大震災では自らの使命を最後まで果たして
犠牲にあった人がたくさんいるのだが、
それとは逆に避難することを選択したために
世間一般から大きな批判の声を浴びたという
ケースもあった。
11日の東京新聞特報面「本音のコラム」では
看護師の宮子かずささんが福島・双葉病院の
全員避難で県が「患者を置いて逃げた」と
誤った発表をされて多くの誤解を受けた
事実があったことを書いていた。
この件で宮子さんは事実が明らかになった当初から「被災者である医療者に命をかけて
とどまれと命ずる社会の圧力に怒り、職員の側に立つことを決めた。」としたが
この報道が最初に出た時は自衛隊が最初に病院に着いた時に
院長や病院関係者は
「自衛隊が来るが、寝たきりや車いすの患者が搬送できず、一旦戻る」
→「2度目の救援が来ない」
→「一緒に残っていた警察の指示で職員が川内村に避難」
→「自衛隊と一緒に病院に戻ろうとする」
→「避難地域なので一緒に行けない」
→「自衛隊だけが救援に」
→「2・3回目の搬送の際、病院関係者は誰も現場に居なかった」(当たり前)
→「職員が患者置き去りで逃げたと福島県が発表」
→「報道各社が福島県発表に基づいてそのまま独自取材せず報道」
これらの流れの中で警察が自衛隊が来たのにもかかわらず
自分たちだけ逃げたという誤った情報(のようなもの)が
マスメディアやネットで拡散されて
「許せない!」という大多数の世論が双葉病院に殺到する。
福島県が謝罪したのは2012年8月のことになるが
そこまでには一部のジャーナリストなどが鈴木市郎院長
などに直接話を聞くなど、あの時の事実はどのようなもので
あったのかを掘り下げる地道な活動もあり
それが県を動かしたこともある。しかし宮子さんが言うように
「最も注目された報道は、強烈な印象を残す。
残念ながら、いまだ誤解されたままの人も少なくない」と。
鈴木院長は今年1月に他界され、告別式は自身が毎年行ってきた
犠牲にあった方の法要も行われたそうだ。
自らの名誉回復はいいからあの時に起きたことを
正確に語り伝えてほしいと望んでいたという。
宮子さんのように医療に携わる人だから理解して受けとめたことを
それ以外の私たちが同じように受け止められるか。
震災直後は被災地から離れていてもテレビや新聞の報道
さらにネットによる煽情的な書き込みで
勝手極まりない「許せない!」をまき散らして
それが被災者を苦しめることになる。
これを忘れてはならないことだ。
(今回の分で一部抜粋したのは下記のネット記事)