うずみ火ジャーナリスト入門講座・最終日

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おとといキャンパスポート大阪(大阪市北区)で行われた
新聞うずみ火ジャーナリスト入門講座の最終日は、
毎日新聞大阪夕刊編集長の松井宏員さん、沖縄タイムス記者の謝花直美さん、
そして毎日放送MBS)報道局専任部長の沢田隆三さんの3人による
座談会「新聞がすき、テレビが好き」が行われた。

(左から松井さん、謝花さん、沢田さん。)
松井さんと謝花さんについては
http://d.hatena.ne.jp/shiraike/20101014/1287024133 と、
http://d.hatena.ne.jp/shiraike/20101018/1287392929 で
書いたが、沢田さんはMBSテレビで「映像」「VOICE」など
ドキュメンタリーやニュース番組(主に関西エリア)に携わってきた。
話は新聞とテレビの違いから始まったが、
情報を集めるために記者をどのように投入するかという点では
同じだが、テレビには「映像(カメラマン)」が必要な点に違いがある。
それでは新聞がテレビを参考にすることがあるのかといえば
「最近テレビのニュースを見ることがほとんどなくなった。」(謝花さん)
その原因として「テレビは視聴率を意識しすぎて、一定のスタンスがなくなっているのではないか。」(松井さん)
これに対して沢田さんは「作り手としては視聴率を高く取るとそこに快感をおぼえる。
それがニュース番組に変質を与えている。」と話し、
関東の6時台のニュースには昔と比べてグルメ情報など中身がものすごく変わっている(ニュースのバラエティ、ワイドショー化)ことも指摘した。
「地方でも下請けのプロダクションをつかって変質している例がある。」(謝花さん)
「コメンテーターの人選もそうなっているのではないか。」(松井さん)
「確かにバランスの取れた人選をしているようで、実は橋下府政に反対する人が反論できないようにしている。」(沢田さん)
テレビニュースが変質している実例として沢田さんが紹介したこと。
「スタッフが地方紙のホームページを見て、これは記事になると思ったら取材をしてニュースで伝えていることが多くなった。」
「ニュースをわかりやすくするために、放送作家が原稿に手を入れていることがある。(フジではじまり、東京キー局で常識化)」
その一方で
「新聞が事件以外(記者クラブとは関係なし)の記事で読者に向かい合うようになったのは
いいことではないか。」と沢田さんは新聞が良い方向へ変化したことを話した。

(松井さんの記事)
新聞もテレビも時代とともに変化することは必要だが、報道の基本を忘れるような変質が
どれだけ読者(視聴者)に知られているのかというと実際には
「関心すらない」というのが現状だ。こういった話は就職活動での業界研究でも話にはならないだろう。
「知る権利」について改めて考えさせられる。楽しければいいのではないのだから。
話は学生たちを意識してか「マスコミを志す若者たちへ」に移り、
「私は人と話すのは好きだというが、取材相手がみんなマイクの前でペラペラしゃべるとは限らない、
 時には取材にいくことが辛くなる日もある。」
「私自身闘う記者といわれて、自分がトンガッたところがあることに最初は気がつかなかったが
 柔らかい企画などを任されたことでやがてそれがわかってきた。」(2つともに謝花さん)
「自分のときはデスクと喧嘩したことはなかったが、今はインターネットで情報が集めることが出来るから
 番組を器用に作ることはできても、深く物を考えることはないのでは。」(沢田さん)
若者たちは時代によって変化はするけれども、ジャーナリズムとは
ただ物を伝えるのではなく、「なぜこのニュースを伝えるのか」を考えることを大切にしてほしい
という思いが十分伝わった。
また、「中央vs地方」のマスコミの現場の話にまでおよび
「地方の記者から見れば東京の記者のやっていることが
 異様に見えてくる。かわいそうに思えることがあるが
 政官などのトップ争いばかり見てきて、生活の現場を知っているのかと思うときがある。」(謝花さん)
「東京と大阪の新聞でも沖縄などでメディアの温度差がある。」(松井さん)
水俣病のドキュメンタリーを作ったときに、東京では終わった問題として考えられている
 ことがよくわかった。でも地域限定の問題ではないはずだ。」(沢田さん)
いまのマスコミをかかえる課題がたくさん出たあとで
「これからは何を糧に記者活動をしていくか」という最後のテーマでは
「これまでやってきた沖縄戦など進めてきたことに回帰できればいいと思う。
 自分の書きたいことを仕事にできることをキープしていきたい。」(謝花さん)
「(街ネタを書き続けてきたが)新地のバーでNHKのポスターを撮ってきた人と語りあいながら取材をする。
 これからもそんな仕事を続けて行きたい。」(松井さん)
「大阪の阿倍野再開発で消えていく街の姿を追ってきた(23年前に初取材)。これからもこの記録を追いかけてきたい。」(沢田さん)
とこれからの抱負を語ってくれた。
私は沢田さんに「うつやボランティア活動など福祉に関することはNHK教育などでやっているが、民放はどうなのか。」と質問した。
その答え「民放は福祉について地味で視聴率がとれないことから関心は薄いと思う。でも地方の民放で制作されていることもあるので
     機会があったら見てください。」
ぜひそうしたいと思う。ありがとうございました。
沢田さんがディレクターとして制作した「報道の魂」
http://www.tbs.co.jp/houtama/last/100502.html


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