毒入りギョーザ事件容疑者確保に思う

28日にあの毒入りギョーザ事件の容疑者を確保したと中国公安当局が確保したとのニュースが入ったが、
その内容を知れば知るほど何か胡散臭さが漂うばかりだ。
もう2年前のことになる。年末商戦がピークになり、追い込み状態に入った中でこのニュースを知ったときは
「また中国産か!」と思ったと同時に「生協に与えるダメージが大きいぞ。もはや他人事ではない。」とも感じた。
その頃、中国産なのに「国産」と偽装したという不祥事や、ミートホープ事件などのようにとんでもない物を混入して「牛肉100%」と偽ったり
消費期限を偽ったりと「食と安全」についてテレビが多く取り上げていた。
そんな時にこの事件は「生協も危ない」という誤ったイメージを植え付けかねない大騒動になると
当時の私たちの職場でも不安を感じていた。なぜなら職場では生協に卸す肉・魚のパック品(店舗・共同購入)を生産していたからだ。
私が知っているだけでも、うなぎ蒲焼は中国産だったし、ほかのメーカーに委託生産している物も中国産は結構あり
今まで売れ筋だったものも売れなくなるどころか、生協を辞める人が増えるのではないかという不安もあった。
職場では、今まで通り品質管理を徹底させ特に「異物混入」品を出荷させないチェック体制を怠らないことを確認した。
というよりもこれまで行っていたことをマニュアルから再び見直し、見逃されていた問題点を出していくことからやり直すしかなかったのだ。
ここで、容疑者確保に話を戻す。
この容疑者は「天洋食品」の工場の臨時職員で、毒物「メタミドホス」を盗んで注射器とともに工場に持ち込んだとのことだが、
食品工場で生産管理をやっていた私からすれば「ありえない話」だ。
臨時職員であれ正規職員であれ、工場の生産ラインにつく前には、制服に着替え手洗いをして髪の毛チェックを行い
エアーシャワーを浴びてラインに入り作業を開始する。
だがそれ以前にこの工場は「作業室への私物持ち込み禁止」を職員に指示していなかったことになる。
「毒物の入った容器も注射器も、小さいからこっそり持ちこめたのでは?」
ではこの工場の制服のポケットはどうなっていたのか。
日本とおなじHACCPやISO9001(9002も)に基づいて管理しているのならば
「ポケットには作業用具以外のものを入れてはいけない」となっているはずである。
そして「生産ライン外の作業用具の持ち出しを禁ず」にもなっているはずだ。ポケットはあっても、使うことが事実上「できない」のだ。
管理する側の正規職員(?)が口うるさく注意すればそのようなことはなかったはずだし、
あったとするならば工場を管理運営してギョーザを生産していた「天洋食品」の責任がとっくの昔に問題化されていたはずなのに
当時の中国側は「天洋食品」に問題はないと発表しているし、
にもかかわらず突然工場を閉鎖して従業員を解雇したのである。
こんな大それたことをやれば自分がどんなことになるかは臨時職員の身であってもわかるはずだ。(中国の刑罰は日本より厳しい)
私は、中国当局は事件の重大な真相を隠しているとしか思えないのだ。
容疑者は決して「呂月庭」という男だけではない。そう断言する。